はじめに
サッカーは、スポーツの中でも接触プレーが多いスポーツです。その分、怪我のリスクも高く、特に下半身にトラブルが発生しやすいと言われています。
この記事では、スポーツ医学をもとに、サッカー選手に多い怪我の種類と、その予防法について解説します。
怪我を防ぎ、最高のパフォーマンスを発揮するために、ぜひ参考にしてください。
サッカー選手に多い怪我とは?
【プロサッカーチームを対象に実施した 4 年間に渡る傷害調査】の結果によると
- 練習時と試合とでは試合時の怪我が 3.6 倍高い
- 怪我の部位は発生率が高い順に「大腿部、膝関節、足関節」(全体の 85.8% を下半身が占める)
- 怪我の種類では上位3つが「肉離れ、捻挫、打撲」(練習・試合ともに共通)
選手に必要な怪我の予防は?
怪我の多くが「身体の状態」と「環境の影響」が影響しあって起こります。
そのため、怪我を予防するためには、この2つをコントロールすることが重要です。
今回は、取り組みやすい項目に絞って説明します。
1. 形態(体格・姿勢)
日常生活での「不良姿勢」や「動きの癖」は怪我のリスクを高めます。日頃から意識して生活しましょう!
- 左右の筋バランスを整える
- 関節の可動性・安定性を保つ
- 日常生活での姿勢を最適化する
2. 体組織
脳・神経・筋肉を最適な状態に保つことで大幅に怪我のリスクを下げることが出来ます!
- 瞬発性の筋、持久性の筋のバランスを整える
- 運動神経、感覚神経を養う(神経筋トレーニング)
3. 健康状態
日常生活の質を高めましょう。特に疲労の蓄積は怪我のリスクだけでなく、免疫力も低下させます。
アスリートには「休息の質」が重要です。疲労回復のために適度に体を動かすアクティブレスト(積極的休養)を行いましょう!
筋トレやランニングなどの激しい運動ではなく、ストレッチに近い方法で適度に筋肉を動かすことで効率的に疲労が軽減されます。
- 適度に休息をとる(アクティブレスト)
- 睡眠の質を上げる
- スポーツ栄養学に沿った食事をする
4. 身体能力・技術レベル
「各関節が最大限に動き、エネルギーロスなく効率の良い動きが出来る」状態を目指しましょう。
この状態は一部分に負担が集中することが少なく、怪我のリスクを大幅に減らせます。
- 自分の特性に合ったトレーニングを行う
- 運動学習を正しく理解し、最低限の負担でパフォーマンスを上げる
- トレーニングは正しいフォームで「負担をかけずに負荷をかける」
チャート分析で怪我を予防!
肉離れ予防には、
「パワーと柔軟性を両立」
肉離れの要因として最も多いのが筋肉の柔軟性の低下。
特に大腿四頭筋やハムストリング、下腿三頭筋は肉離れを起こしやすい部分なので入念にケアしましょう!
- 試合や練習前に動的ストレッチを行い、筋肉と関節を温めて可動域を広げる
- トレーニングにピラティスを取り入れ、身体の柔軟性や筋力、バランスを高める
- 身体操作能力を高め、身体を「イメージ通り」に動かせるようにする
捻挫・靱帯損傷予防には、
「足首、膝・股関節の安定と可動を両立」
捻挫がしやすい人の特徴として以下が挙げられます。
- 足首の筋力が弱い(過度な柔軟性)
- 股関節周りの筋力が弱い
- 下半身(足・膝・股関節・骨盤)と体幹の連動性が不足
- 俊敏性・バランス感覚の低下
これらを改善するために、
- 関節トレーニングで各関節を個別に鍛える
- 各関節を連動を促すモビリティトレーニングを行う
- ピラティスで柔軟性や筋力、バランスを高める
- 身体操作能力を高め、身体を「イメージ通り」に動かせるようにする
捻挫は「足首」だけが注目されがちですが、ほかの部位の影響を強く受けます。
人間には「運動連鎖」という身体の動きが連動する機能が備わっています。ストレッチやトレーニングで全体の繋がりを意識することも捻挫予防には必要です!
ROOF PILATESの取り組み
サッカー選手にとって怪我のリスクをゼロにすることは難しいですが、適切な予防法を取り入れることで大幅に軽減することが可能です。ピラティスやストレッチを活用し、身体の柔軟性や筋力、バランスを高めることが大切です。
当店では、パフォーマンス向上と怪我予防を両立するために、「各関節が最大限に動き、エネルギーロスなく効率の良い動きが出来る」状態を目指します。
選手たちは個々で異なる目的で通っています。例えば、身体の使い方や動作を知りたい選手もいれば、コンディショニングの仕方(自分に合ったリカバリー方法は?)とか、関節のメンテナンスを目的にパーソナルストレッチを中心に受ける選手など、完全個別の内容です。
選手のプレースタイルやチーム活動での負荷を逆算しながら足りないことを補てんしたり、過負荷になっている部分に対してリカバー方法をマンツーマンでアドバイスするので、包括的にコンディショニングに対してアプローチしていく形です。
選手によってはプレー動画をオンラインで送ってもらい、エクササイズメニューの追加や修正を随時行います。
私は、怪我さえ無ければ選手として成長していくのは当たり前だと思っています。部活生も怪我をしなかったらボールを扱う感覚や身体の状態はいい状態を保ちやすくなる、それがコンディショニングです。常にパフォーマンスを80パーセント以下にさせないことは、怪我の予防や選手としての成長に必須だと思います。
少し専門的な内容になりましたが、この記事を機に怪我の予防とコンディショニングに意識を向けて頂けると幸いです!
参考文献:プロサッカーチームを対象とした4 年間における傷害調査.目良寛巳,田原敬士